生理が遅れる、何日も続く、周期がバラバラということがあると「ちょっと気になるな」と感じる方は多いのではないでしょうか。
そんな40代に入ってからの生理不順は、もしかすると更年期の始まりかもしれません。
「更年期」というのは、女性なら誰でも迎える時期のことです。
更年期の代表的な兆候である、生理不順とその原因、更年期との関係をまとめてみました。
生理不順が始まると、更年期に突入なの?
一般に、日本女性の平均閉経年齢は、50歳頃です。
40代になると、女性の体は閉経へと向けて、徐々に変化していきます。
生理不順の大きな原因となるのは、加齢による卵巣機能の低下です。
卵巣の機能が徐々に衰えることで、女性ホルモンの分泌が減少し、そのために生理不順をはじめ、ほてりや発汗、イライラなどさまざまな症状が心身に現れてきます。
これが更年期障害といわれるものです。
通常閉経の前後10年にわたる更年期には、更年期障害に悩む女性が増えてきます。
生理不順は、更年期の症状としては、代表的なもののひとつ。
そのために、40代に入ってからの生理不順は、更年期の始まりといわれることも多いのです。
更年期の生理不順は人それぞれ
更年期に入ると、閉経に向けて、徐少しずつ体が変化し、生理のあり方も変化してきます。
更年期の生理不順から閉経への流れは、個人差もかなりあるのですが、もっともよくみられるのは次のような「徐々にパターン」です。
- 生理の間隔が短くなり、生理が早く来るようになる
- その後、生理の間隔が徐々に長くなり、2〜3か月生理がこないときもある
- 生理時の出血量が一時的に多くなり、その後、徐々に減少していく。不正出血が度々ある
- そのうち何か月も月経間隔が空くようになり、1年以上月経がなくなった時、閉経となる
上記のパターンはあくまでも一例で、誰もが上記のようなに閉経を迎えるとは限りません。
周期が長くなったり、短くなったりを繰り返す気まぐれな状態が数年続き、気がつくと生理が1年以上なかったという「気まぐれパターン」の方もいます。
稀ですが、なかには生理不順をほとんど経験しないまま、突然閉経する「突然パターン」の方もいるようです。
更年期の生理不順とは?
閉経へのパターンが人それぞれであるように、更年期の生理不順の症状もさまざまです。
しかし、そもそも、生理不順とはなにを持って定義されているのでしょうか?
正常といわれる生理の周期とは、25日〜38日、生理の続く正常な範囲は、3日〜7日といわれています。
生理不順とは、この範囲や周期を下回ったり、上回っているケースです。
つまり生理が2~3日の周期できたり、1回の生理が2日で終わってしまったり、2か月に1回しか生理が来なかったりということですね。
また、月経の血液量が極端に少なかったり、オムツのようなナプキンでなければ漏れてしまうほど多かったりするのも、生理不順の症状のひとつ。
上記以外に、生理と生理の間に、不正出血があるケースも生理不順といえます。
このような状態が数か月に渡って続いたり、一年に何度もおこる場合を生理不順というのです。
生理不順は全ての女性に起こるかもしれない
上記のような生理不順の症状は、更年期によくあることですが、生理不順は更年期だけに起こるとは限りません。
女性の体は敏感で、加齢以外にも、ストレスや極度の睡眠不足、急激な体重の増減などホルモンバランスが乱れる原因は多々あります。
また、自律神経失調症や子宮筋腫など、疾患が原因となる生理不順もないとはいえません。
生理不順は、初潮を迎えた女性から閉経直前の女性まで、あらゆる女性に起こり得るものなのです。
では、更年期による生理不順なのかどうか、どのように見分けたらいいのでしょうか?
更年期の生理不順の見分け方
加齢による女性の卵巣機能の低下は、だいたい40歳を過ぎた頃からゆっくりと始まっています。
40歳以上で生理不順が続いた場合、下のリストにある更年期障害の症状がないかどうかチェックしてみてください。
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【更年期障害の代表的な症状】
- 突然大量の汗がでる
- 顔がほてる、のぼせる
- めまい
- 動悸、息切れ
- 手足が冷える
- 腰痛、肩こりがひどい
- 皮膚が乾燥しやすくなった
- イライラする
- 不眠症気味である
- 性交通がある
生理不順と合わせて、上記のような症状がある場合は、更年期に入ったことで生理不順が始めっていると考えられます。
しかし、上記のような自覚症状が全くない場合は、別の病気が原因の可能性もあるので、念のため、病院できちんとした検査を受けるようにしましょう。
生理不順は別の疾患の可能性も
生理不順になる原因は、更年期だけとは限りません。
別の疾患が隠れている可能性もあります。
とくに、出血量が異常なほどに多かったり、だらだらと鮮血の出血が続いたり、茶褐色の不正出血がみられる場合は、疾患が原因の器質性出血かもしれないので要注意です!
以下のような病気の可能性もありますので、婦人科の医師に相談してみてください。
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【生理不順が現れる疾患】
- 子宮筋腫
- 子宮腺腫症
- 子宮頸管ポリープ
- 卵巣膿腫
- 多嚢胞性卵巣症候群
- 子宮体がん
生理不順がおこるメカニズム
女性の生理には、ふたつの女性ホルモンが深く関係しています。
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(主にプロゲステロン)です。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量は、決まったサイクルで増減を繰り返し、女性の生理周期を作っています。
卵胞ホルモンの働きは、卵子が着床するための子宮内膜を厚くします。
生理開始から始まる低温期は、卵胞ホルモンが活発に分泌される時期です。
その後、排卵し、体温が平均して0.3度ほど上昇する高温期に入ると、黄体ホルモンの分泌量が増えます。
黄体ホルモンは、いつ受精卵が着床してもいいように子宮内の環境を維持します。
しかし妊娠しなければ、黄体ホルモンは減少し、不要になった子宮内膜は、はがれて排出されます。
それが生理といわれるものです。
しかし、更年期に入ると、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が減少していきます。
女性ホルモンが減るため、ホルモンバランスが崩れ、月経周期や月経量が乱れる原因となるのです。
更年期なのに生理が早く来る理由
「40代に入って、生理の周期がどんどん短くなった」という女性は多くいます。
25日以下という短い周期で月経が来ることを、頻発月経とよび、生理不順のひとつです。
普通に考えると、ホルモンの分泌量が減ると、生理の周期は長くなりそうなものですが、実際には、月に2回も生理が来て困っているという女性の声もあるのです。
なぜ、更年期になると、生理の周期が短くなるのでしょうか。
黄体ホルモン機能低下
黄体ホルモンは、子宮内膜を維持する働きがあります。
黄体ホルモンの分泌がじゅうぶんでないと、通常12日〜16日続く高温期が短くなり、10日未満になってしまうのです。
すると子宮内膜を維持できなくなるため、生理が早めにきてしまいます。
卵巣機能低下
通常、生理が終わると、卵胞ホルモンの働きが活発になり、卵巣内の卵胞が成長する卵胞期に入ります。
しかし、卵胞ホルモンの分泌が不十分だと、卵胞の育つ期間が短くなってしまい、生理周期が早くなるケースもあります。
さらに、卵胞ホルモンが減少すると、無排卵月経をひきおこすこともあります。
無排卵月経の場合、周期が長くなるパターンと短くなるパターンがあり、短くなるパターンにおいては、月に2回生理が来ることもあります。
だらだらと生理が止まらない理由
「更年期になって、月経継続日数が短くなった」と感じる女性が多いいっぽう、「生理が8日も9日も、だらだらと続くようになった」という女性もいます。
更年期で女性ホルモンの分泌が減少すると、経血量が減り、生理の継続日数も短くなるのは理解できます。
しかし、生理の継続日数が長くなってしまうのは、どういう理由からでしょうか?
生理+不正出血の可能性
生理自体の量はそんなに多くないのに、8日以上だらだらと出血が続くという場合は、生理に引き続き不正出血が起きている可能性があります。
不正出血も、更年期の生理不順の特徴のひとつです。
人によっては、生理の前に少量の不正出血が数日続き、そのまま生理に入り、生理期間が長く感じられるということあります。
ホルモンの乱れ
卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が不十分だと、子宮内膜は十分に厚くなることができません。
そのうえ、黄体ホルモンがほとんど分泌されない状況になると、子宮内膜を維持できずに、だらだらと剥がれ落ちるため、生理の日数が長くなることがあります。
生理が遅れる理由
生理の周期が39日以上の場合を、揮発月経といいます。
更年期の始まる時期は、生理の周期が短くなる人の方が多いようですが、更年期が進むにつれて、生理の周期が徐々に長くなる揮発月経になる人が増えていきます。
その原因は、どこにあるのでしょうか?
ホルモンの分泌量の減少と排卵の回数の減少
女性の卵子の数は、生まれたときにすでに決まっていて、成長するなかで、排卵されてどんどん減っていきます。
さらに更年期になると、卵胞の質も徐々に低下していき、正常に機能する卵胞が少なくなり、排卵回数も減っていくのです。
同時に、女性ホルモンの分泌がされなくなります。
エストロゲンが分泌されないと、子宮内膜が形成されなくなり、生理が遅れるという現象が出てきます。
やがて、排卵は完全になくなり、閉経を迎えます。
更年期の生理不順の対策
生理の周期が乱れたり、量が多くなったり少なくなったり、だらだらと続いたと思えば、2日で終わってしまったりと、更年期の生理不順に悩まされる女性は多いようです。
このような更年期の生理不順と、どのように付き合っていけばよいのでしょうか。
更年期の生理不順は病気ではない
更年期に入った女性が、生理不順になるのは、閉経に向けての自然な流れであり、多少の生理不順は避けて通れないもの。
とくに病気という訳ではないので、治療は必要ありません。
ただし、あまりにも出血量が多かったり、出血が長期間続いて、日常生活に支障がでるようなら、婦人科の医師に相談しましょう。
ホルモン補充治療や、低用量ピル、漢方などの治療が必要になることもあります。
更年期の生理不順を軽減する方法
更年期の生理不順は自然な現象とはいえ、できるだけ快適に、楽をして乗りきりたいものです。
ここでは、自分でできる、更年期の生理不順を軽減する方法を紹介します。
生活習慣の見直し
睡眠不足や偏った食事、運動不足などの生活習慣の乱れは、自律神経を乱し、ホルモンのバランスをさらに崩す原因です。
更年期こそ、日々の生活を見直し、体をいたわってあげましょう。
食事においては、女性ホルモンを増加をうながす、大豆イソフラボンをはじめ、亜鉛、ビタミンEなどを積極的に摂取するとよいですね。
もしも、食生活を見直すことが難しいようであれば、サプリメントに頼るのもひとつの方法です。
ストレスを溜め込まない
更年期の女性は、子離れや介護など、ストレスを多く抱える方が多い時期です。
しかしストレスは、自律神経のバランスを崩す大きな原因のひとつ。
更年期をできるだけ健やかに過ごすためには、上手にストレスを解消してあげることも大切です。
自分の好きなことをする時間をとったり、美味しいものを食べに行ったり、自分なりのストレス解消方法をみつけましょう。
三陰交のツボを刺激
ツボのなかで、三陰交のツボは、婦人科系の不調解消によく使われるツボです。
生理痛や、生理不順など生理全般において効果が高いことが知られていて、更年期障害の症状の改善にも三陰交を押すとよいといわれます。
場所は足の内側の骨の上、くるぶしの骨より指三本分置いた上あたりです。
人差し指でゆっくりと数回押してください。
明るい気持ちで更年期を過ごしましょう
女性なら誰でも避けて通れないのが更年期です。
体の変化に、なかなか気持ちがついていかないという女性も多いようですね。
しかし、そういう変化のときこそ、明るい心持ちで過ごすことが大切です。
体が変化するのは、自然の流れで必要なこと。
今日まで頑張って生きてきたご自分を褒めてあげましょう。
そして、できるだけ明るく、健やかに、しなやかに更年期を乗りきっていきたいものですね。